染織・神谷あかね|Akane KAMIYA

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KIMONO

着物は一反・幅1尺長さ3丈(幅38cm長さ11.4mくらい)の布を8枚の長方形に直接裁ちし、構成される、非常にシンプルな構造です。 衣桁に掛けて広げれば絵画のようでもあり、纏えば所作を正される、自然の恵みと芸術が宿る衣です。 着物を作りはじめて十数年、まだまだ芸術とは遠い拙い作品ですが、精進を重ね取り組む所存です。

2008年2009年2010年
2012年2013年2014年
2015年2016年2017年

「音の粒」

2007年制作。
「音の粒 ひびきあう 歌になる」
大学の実技の授業で一番思い出深いのが絣の授業でした。緯絣からはじまり、経緯絣、経ずらし絣。
イメージを絵にし、図案を描き、織物設計を作る。 絣を括っては染め、解いては括り、また染めて…経巻きも絣を合わせながら慎重に。製織もしかり。
気の遠くなる作業の数々ですが、そのひとつひとつが確実に形に近づいていく。そして着物の形になった時の感動!
はじめて作ったこの着物は特に思い入れのあるものです。

「秋想」

2007年制作。
「秋に生まれ、秋の名前をもらった私はよく秋を懐かしく思う。だんだんと色をかえら山や野、赤くたなびくうろこ雲、さっと吹く秋の風。」
秋のしみじみしたイメージの着物。 経糸緯糸ともに太さの違う糸2種類の糸をコントラスの強い2色で染め"やしらみ"で織ったものです。

「青嵐」

2008年制作。
「5月、風は少し強いけどさわやかに、木々をざわめかせ若葉を揺さぶります。
葉を揺するその風に、私はその時、色彩を感じたのです。」
経緯ともに諸撚りの練糸を使っています。グラデーションの経縞を一定の間隔で横に区切り、ずらすことで 揺れ動くように見える効果を狙いました。絣故、柄の端が不揃いになることでさらに動的に、5月の風を纏うような経絣の着物。

「朱の季 謡う季」

2008年制作。
「吹く風の 色のちぐさに 見えつるは 秋の木の葉の 散ればなりけり(古今集290)」
「青嵐」同様、木をモチーフに。
織物は経糸と緯糸で構成されるので、そのデザインも経緯が基準となります。経緯を基準としながら、グラデーションの 経縞を斜めにずらし柄の流れに斜線を作ることで、木のまわりをひらひらと葉が舞うイメージを図案にしました。 経糸に平絹、緯糸に紬糸を使った経絣の着物。

「サザナミノ群舞」

2009年制作。
「対岸で生まれ 魚とあそび 船を送りして 打ち寄せる 二歳の波」
沖縄に来て6年目。
まぶしいほどの青い海に心を打たれ、生命力溢れる南国の自然の雄大さに圧倒され続けています。 沖縄の自然の素晴らしさと、そこに行き交う人々の呼吸を織布に表せれば、そんな思いの大学院修了作品。
経糸に駒糸、緯糸に壁糸を使った経ずらし緯絣の着物。絣の白場を反転させた二つの着物です。

「秋高く 草の絮」

2012年制作。
絮といえば春に柳、薊、蒲公英…
秋に姫蒲、千萱、薄…
草の絮とは草の穂のことで秋の季語になります。種子を飛ばすためのたくさんの絮が陽射しに照らされ輝きながら舞う景色。旅立ちのような心境。
経糸に平絹、緯糸に真綿紬を使った経緯絣の着物。染料に矢車、カテキューを使っています。

「かえりばな」

2012年制作。
めったにしない初冬の帰省。沖縄はまだ暖く、色とりどりの花が咲いていたのに、こちらはもうすっかり冬の準備に入っていて身震いしてしまう。
これでも小春日和だとか。確かに、先ほど庭先に見つけた小さなかえりばな。小さな数個のかえりばなはとてもかわいく、色あざやかに見えた。そんな帰省中に描いた図案。
経糸に平絹、緯糸に真綿紬を使った経ずらし緯絣の着物。染料は矢車、インド茜を使っています。

「月の舟」

2012年制作。
「天の海 雲の波立 月の舟 星の林に 漕ぎ隠る見ゆ(万葉集1068)」
夜空に夢を描くのは今も昔も変わらないのだなぁと思うと同時に、変わりゆくものもたくさんあると実感する。 染織のしごとも然り、織機の機械化、化学の進歩。残していかなくてはいけないものと、革新。
この唄を思い出し見上げた夜空は、古人が見上げた夜空と同じであるように感じられ、 そこには古と今とこれからの道筋があった。
経糸に平絹、緯糸に真綿紬を使い、インド茜と矢車で染めた経ずらし絣の着物。

「七夜月」

2013年制作。
七夕の節句のある月「七夜月」
笹の葉に色とりどりの短冊が飾られる光景を多くの場合で目にします。
七夕といえば"機織り" 今年も上達を願って、七夕に素麵を食べます。 経糸に駒糸、緯糸に壁糸を使った緯絣の着物。 染料は化学染料を使用しています。 経糸を変えたため、3回織機に掛け直し、織っています。

「凛」

2014年制作。
「螺旋」をテーマにした着物。
経糸に平絹、緯糸に真綿紬を使い、ゲレップで染めた緯絣の着物。

「千桜の記憶」

2015年制作。
「花の色は うつりにけりな いたづらに わが身世にふる ながめせしまに (古今集・小野小町)」
満開だった桜はあっという間に花びらが散りはじめるところにひとつの美学がある。 時は平等に流れる、時代はかわる。うつろい、歳を重ねれば皆老いる。
美しさとは…
経糸に駒糸、緯糸に壁糸を使った緯絣の着物。染料にミロバラン、矢車、インド茜を使っています。

「八十八夜の雫」

2016年制作。
「うぐひすも うかれ鳴する 茶つみ哉(小林一茶)」
立春から八十八日目。
種まき、田植え、茶摘み、蚕の掃き立て…
春から夏へと季節が変わりはじめ、すべてがエネルギーに満ち溢れ、キラキラ輝いてみえる。
経糸に平絹、緯糸に真綿紬を使った緯絣の着物。刈安を異なる二種類の媒染剤で染め分け、地組織をヤシラミにしています。

「風の調べ 水の旋律」

2017年制作。
風が吹く、その調べに応えるように水面がゆらゆら揺れて動く様を着物に表現しようと思いました。
この年はひたすら植物採取をした年。夏から秋にかけては頻繁に山へ出かけていました。
臭木、五倍子、矢車、福木、インド茜を使用しています。 とくに臭木はひとつの実が5mmほどしかないので集めるのがとても大変でした。
経緯糸ともに駒糸を使い、裾へいくにつれて緯縞を強調させた絵羽風の着物。