制作工程について
PROCESS
デザインと織物設計
自然や四季、言葉や唄、様々なものをモチーフにスケッチとパソコンで大まかなデザインをします。 デザインを着物の形に構成し、ひとつのパターンをさらに細かくデザインします。その後、方眼紙や分紙に手描きで設計図を起こします。 着物では経糸が1200〜1800本、緯糸がその70〜90%入ります。 織物設計図から絣や染色の糸量を割り出す緻密な計算が必要となります。
糸を選ぶ
私の制作の中心は絹糸になります。絹は蚕蛾がつくる繭玉から採れた繊維を原料にしたものの総称で、家蚕・野蚕と蚕の種類によって分類されます。 繭玉をもとに、繭糸・生糸・真綿・絹紡糸と分けられ、さらに製造方法によっても呼び名が違います。 私がよく使うのが平絹・真綿紬・駒糸・壁糸で、同じ絹でも異なる風合いに仕上がります。
糸を染める
染料を繊維に染着する「染色」には様々な種類や技法があります。 よく聞くのが原料の違いで分類される天然染料と合成染料。 天然染料は自然の植物・動物・鉱物から得られる色素を染料としたもので、対し合成染料は石炭や石油を原料とし化学的に合成された染料です。 その中でも成分や染色法など様々な分類の仕方があります。 天然染料・合成染料ともにデータを取っておき、イメージやデザインに合った色を探します。
染色方法
私の制作では染色法は浸染、染料は媒染染料が大半を占めます。私はもともと合成染料から染織の勉強をはじめました。 合成染料は天然染料に比べると作りたいものの目的に合わせ安定した染色が可能です。 今は天然染料を主に使っています。
糸を整える
染色後、綛の状態である糸を木枠に巻いていく糸巻きからはじまり、整経・縞割り・仮筬通し・経巻きをして織機に掛けるために経糸を整えていきます。 整経で経糸の本数と長さ張力を整えます。整経台から糸を外し、縞割りで経糸の順番を直します。その後、筬に通し織幅を合わせて千切箱に経糸を巻いていきます。
織り機に掛ける
経巻きをした糸を織機に掛けていきます。まずは綜絖通し。経糸の本数と織物組織に合わせた綜絖という経糸の動きのガイドになるものを作り、 それに経糸を1本ずつ順番に通していきます。捩り織や花織りなどは平織りになる地綜絖に糸を通したあと別の綜絖を作って通します。 綜絖通しの次は筬という道具に糸を通します。筬は丸羽・片羽・混差しと織るものに合わせます。 全てに通し終えた後、織前に経糸を結び、経糸を張ればセッティングの完了です。
織る
織り機に糸を掛けたあとはリズムよく織っていきます。 織り終えたら織り機からはずし、洗い張り、湯のしなどの仕上げをします。