KAMIYA AKANE

絹糸について
YARN

天然繊維

糸とは繊維を長くつないだり撚り合わせたもので、天然繊維と化学繊維に大別されます。 天然繊維は植物繊維・動物繊維・鉱物繊維に分けられ、天然のままで繊維として使えるものです。
私の制作は天然繊維の中でも絹糸が中心となります。
歴史的な交易路にシルクロードと名がつくほど紀元前から絹を求め人が行き交いました。 今でも多くの品種改良とその利用の研究がされています。 絹は蚕の命と引き換えに糸となり、布となります。

糸 糸

家蚕と野蚕

絹は蚕蛾がつくる繭玉から採れた繊維を原料にしたものの総称で、家蚕・野蚕と蚕の種類によって分類されます。 家蚕糸の1つの繭から得られる糸の太さは2〜3d、長さは1000m程もあるつなぎめのない長繊維です。 主成分はたんぱく質のフィブロインで人間の肌にとても類似した繊維と言われています。
繭玉をもとに繭糸・生糸・真綿・絹紡糸と分けられ、さらに製造方法によっても呼び名が違います。 繭からとれる糸を繭糸といいます。 繭をお湯で煮て取り出した繭糸を数本引き合わせ繭糸の成分であるセリシンで接着し、1本の糸にした節のない糸を「生糸」と言います。 生糸をアルカリで精錬しセリシンを取り除くことを"練る"といい、練ったものを「練り糸」と言います。

糸 糸

撚糸

生糸を数本引き揃えて引き出し、合糸し、撚りをかけて様々な表情の絹糸が作られます。

糸 糸
片撚り 片方向のみ撚りをかけたもので、右回転ならS撚り、左回転ならZ撚りといい、 撚りの少ないものを「甘撚り」と言います。
諸撚り 2本の糸それぞれに撚りをかけ(この最初の撚りを「下撚り」と言います。) 片撚りのかかった2本を合わせて下撚りとは逆方向に撚りをかけます(これを「上撚り」と言います。)
駒撚り 撚りのかけ方は諸撚りと同じですが、撚りの回数が下撚り1500-2000回/m、上撚り1200-1500回/mと諸撚りの倍以上になります。 光沢のないシャリっとした感触の糸です。
壁糸 強く下撚りをかけた太い糸に無撚りの細い糸を引き揃え、下撚りと逆方向に1000-1600回/mの撚りをかけて1本の糸にしたものです。 糸が波打って見え、織った布は凹凸感が出ます。
蛹が成虫になって繭を破り飛び出してしまったものや、2頭の蚕がくっついて繭を作ってしまったものなど、 生糸を引き出せなくなってしまった繭があります。 こういった繭を、繭の状態でアルカリで煮てセリシンを取り除き、やわらかくして繭を綿状に引き伸ばします。 これを「真綿」といい、この真綿から紡いだ糸が「真綿紬」です。
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